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Pierre Agostini 教授 Ferenc Krausz 教授 Anne L’Huillier 教授 ノーベル物理学賞受賞
にあたって

Pierre Agostini オハイオ州立大名誉教授、Ferenc Krausz マックス・プランク量子光学研究所長、Anne L’Huillier ルンド大学教授が2023年ノーベル物理学賞を受賞されました。心からのお喜びを申し上げます。

アト秒とは、非常に短い時間の単位で、0.000000000000000001(10の-18乗)秒です。近年、レーザー技術が進展し、チャープパルス増幅(2018年ノーベル物理学賞)によってフェムト秒領域の極めて短い時間幅で非常に強い光を出せるようになりました。そして、そのフェムト秒パルスの高次高調波を発生させることによって、100アト秒を切る時間幅のパルスを出すことが可能となりました。世界では、今、まさに「アト秒科学」と呼ばれる広い基礎研究のフロンティアが拓かれようとしています。

本機構が推進するアト秒レーザー科学研究施設(Attosecond Laser Facility:ALFA)では、国際的に開かれた共同利用施設として物質中や界面での電子運動によって誘起されるさまざまな素過程や物性を電子の動きに基づいて解明し、基礎および応用分野における学術のフロンティアの開拓とイノベーション創出を目指します。KEKと東京大学との共同研究によって開発されたアト秒加速器技術による、線形電子加速器を利用した次世代ビームラインなど、4本のアト秒パルスビームラインを擁します。

このたびの3名の先生方のご受賞を心よりお祝いするとともに、アト秒光パルスを活用する場を提供するALFAが新たな学際分野の研究に貢献ができるよう、一層の努力を重ねてまいります。

東京大学アト秒レーザー科学機構長
山内 薫
アト秒レーザー科学研究機構
Institute for Attosecond Laser Facility

東京大学アト秒レーザー科学研究機構は、我が国の研究者が培ってきた最先端の光源技術を集約して、アト秒レーザーパルスを国内外の様々な分野の研究者に安定に供給することができる共同利用施設として、「アト秒レーザー科学研究施設(Attosecond Laser Facility: ALFA)」構想を推進することを目的に設立されました。

国内の研究者・技術者が長年にわたって培ってきた超短パルス光源の開発技術と軟X線領域の自由電子レーザーの技術に基づき、互いに同期されたアト秒レーザービームライン(3種)とアト秒自由電子レーザーを併設する計画であり、他に類を見ない独自の先端光源施設となります。

『第5次国立大学法人等施設整備5か年計画』に掲げる「イノベーション・コモンズ(共創拠点)」の実現に向け、国際的な環境の下、次世代の研究をリードする我が国の若手人材を育成する場として教育研究の機能強化を図り、企業や地域社会と共に創造活動を展開する拠点として、国立大学等の本来の役割を果たしてまいります。