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ALFA構想- 2030年度の発足を目指して

- 山内 薫
- 東京大学アト秒レーザー科学研究機構 機構長
超短パルスレーザー光の高強度化は、アト秒領域の光パルスの発生を可能としました。アト秒領域の時間幅を持つ光パルスを用いれば、物質中の電子の運動を時々刻々観測することが可能となることから、人類に新しい自然観を与えるものと、基礎・応用研究において、その利用が待ち望まれています。2023年のノーベル物理学賞がアト秒パルスの発生と計測に貢献のあった研究者に授与されたことは、アト秒パルスを用いて広がるアト秒科学の幕開けを印象付けるものとなりました。
ALFA構想は、アト秒領域の極めて短いパルス幅を持つレーザー光を、国内外の研究者に提供し、基礎・応用研究のフロンティアの開拓に資することを目指して立案されたものです。ALFAは、文部科学省の「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想ロードマップ」にて、2014年度以降、優先度の高い大型施設計画として採択され続けてきました。
ALFAでは、繰り返し周波数とパルス当たりのエネルギーの異なる軟X線領域のアト秒レーザービームラインを設置するとともに、赤外、可視、紫外域の超短パルスレーザービームラインを併設し、最先端のレーザー光をユーザーに提供します。そして、理学・工学・医学にわたる基礎・応用研究の国際的中核拠点として、次世代の研究をリードする我が国の若手人材の育成を目指します。
このALFAを実現するために、東京大学では2022年総長室総括委員会の下の総括機構の一つとして、全学9部局の支援の下、「アト秒レーザー科学研究機構(Institute for Attosecond Laser Facility: I-ALFA)」が設置されました。I-ALFAでは、東京大学、理化学研究所、分子科学研究所など、国内の大学・研究機関の研究者だけでなく、産業界の研究者・技術者が協力しALFAに資する先端的な技術開発を行うための体制が整えられています。
2024年には、東京大学駒場Ⅱキャンパス先端科学技術研究センター4号館にALFAプロトタイプ施設が設置され、ユーザー利用が可能なアト秒ビームラインの整備が進められています。また、2025年には、東京大学柏ⅡキャンパスにALFAを設置することを想定して文部科学省に概算要求を挙げることが東京大学にて了承されるなど、プロジェクトが大きく進展しました。今後、産学官の協力体制の下、2030年度のALFA発足を目指します。
機構概要
- 機構名:
- 東京大学アト秒レーザー科学研究機構
- 英語表記:
- The University of Tokyo
Institute for Attosecond Laser Facility(I-ALFA)
- 設 立:
- 2022年11月1日
- 所在地:
- 国立大学法人 東京大学 本郷キャンパス
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
- 機構長:
- 山内 薫 Kaoru Yamanouchi
事業について
ビジョン
- アト秒科学
- 先端光源開発技術の集約。アト秒科学において世界をリード
- ユーザー施設
- アト秒レーザー研究施設を共同利用・共同研究拠点へ
- 国際ハブ拠点
- アト秒科学の国際中核拠点。世界中の研究者が交流
- 若手人材育成
- 国際環境の下で、次世代の研究をリードする若手人材育成
学術への貢献
- 基礎科学
- 「最も短い時間領域(アト秒領域)での物質の観測」を達成
- 応用科学
- ペタヘルツエレクトロニクスによる超高速応答デバイスの開発
量子計算機の演算素子への応用が期待
- 生命科学
- 水の窓領域(2–4 nm)の3次元顕微画像—生命科学に貢献
沿 革
ALFA設立・建設への準備
- 2014年、2017年、2020年、2023年
- 「日本学術会議マスタープラン」及び「文部科学省ロードマップ」にて「予算化されるべき光源施設」として髙い評価で採択
- 2017年概算要求
- 「アト秒レーザー科学研究コンソーシアムの設置」(東京大学)
- 2022年概算要求「ミッション実現加速化経費」
- 共同利用・共同研究拠点としてALFAを設立するための運営費の確保
- 2022年度11月1日
- 東京大学総長総括委員会の下に「アト秒レーザー科学研究機構」設立
- 2024年概算要求「アト秒レーザー科学研究設備(1)」
- 共同利用・共同研究拠点としてALFAを設立するための設備費の確保
- 2024年10月
- 「アト秒レーザー科学研究施設(Attosecond Laser Facility: ALFA)プロトタイプ施設」を先端研4号館に設置
- 2025年
- アト秒レーザー科学研究施設を東京大学が所有する敷地内に設置することを想定して計画を進めることが了承される。
国内での連携
- 2014年
- 東京大学、KEK、理化学研究所、分子科学研究所、電気通信大学、慶應義塾大学の研究者との議論に基づき、施設の運営、設備整備、利用推進、解析支援を担当する4つの委員会の設置が合意
- 2018年〜
- Q-LEAP 先端レーザーイノベーション拠点との連携
- 2022年3月
- 日本学術会議化学委員会および分子科学研究所が主催した公開シンポジウム「アト秒レーザー科学研究施設(ALFA)計画の現状と展望」を開催
- 2023年5月
- アト秒レーザー科学研究機構 連携協議会分科会、諮問委員会(アドバイザリーボード)を設置
- 2024年5月8日
- KEK物質構造科学研究所 2024年度物構研コロキウム
山内機構長が講演「アト秒科学研究施設ALFAの光源性能とサイエンス」
- 2024年9月
- アト秒科学ノーベル物理学賞記念 Pierre Agostini教授講演会(安田講堂)・シンポジウム(化学講堂)を開催
- 2025年10月10日
- ユネスコ国際量子科学技術年(IYQ2025)「ATTOSECOND DAY IN JAPAN」(先端研ENEOSホール)を開催、10月18日をアト秒の日として一般社団法人 日本記念日協会にて認定・登録
アト秒の日
アト秒の日(10月18日)記念日登録
一般社団法人日本記念日協会より、「アト秒科学の研究における『礎』を築くべく、これまで尽力した方々への多大なる功績」に対して非常に高い評価をいただき、令和7年10月10日付にて「アト秒の日(10月18日)記念日登録証」が授与されました。

ロゴマークについて
ALFAへ、進化し続けるロゴ
ロゴマークは、世界中でデジタルファブリケーションとコンピューテーショナルデザインを牽引し続ける小渕 祐介氏(東京大学建築学科 小渕研究室主宰)のご協力により誕生しました。
機構の英語名である「Institute for Attosecond Laser Facility」の略称「I-ALFA」と、アト秒レーザーの先端光源施設「ALFA」を融合させ、人と科学、建築が自然の中で共創し合い、その豊かな形状と進化し続ける様は、観る者に様々なインスピレーションを与えます。
メインロゴのほか、東大を象徴するような黄色と淡青色の2色の組み合わせによるもの、物質を透過して観察するようなシンプルで無垢なデザインが制作されました。


